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クリニック経営

承継開業の疑問についてお答えします

最近、有難いことに開業を考える先生から、多数問い合わせを頂いております。実際にウェブや都内オフィスでお会いしお話させて頂くのですが、皆様とても熱心で多くのご質問を頂戴します。その際、聞かれる事は共通しており、開業に関する心配事は皆同じなのだと感じています。

私伊勢呂は大宮エヴァグリーンクリニックを承継開業し、その後、東京泌尿器科クリニック上野を新規開業しました。承継と新規開業の両方について、2回に分けてお答えしていきます。今回は承継開業についてです。

目次

承継開業のお金のこと

勤務医のうちは、なかなか借金をする機会がないかと思います。そのため、これは新規開業においても同じですが、承継開業はいったいどれくらいお金が必要で、自己資金はいくらあればいいのか、と共通した疑問のようです。

まずは、売買額ですが譲渡金によっても異なります。だいたい1千万円から1億5千万円以下であることが多く、金額に幅があります。そして、クリニックを承継後に前院長の退職金として渡します。また、その金額の5〜10%を手数料として仲介業者に支払うのが一般的です。

では、そのお金をどのように用意するかですが、方法は色々あり様々です。私個人としては自己資金を投入するよりも、金融機関から借りる方法をお勧めしています。自己資金は自分の手元に置いておき、事業資金とは分けて考えた方が良いでしょう。医師は基本的に、利率を比較的低く借り入れすることができます。特に承継開業の場合は、売上の見通しが立っているので金融機関としても貸しやすく、利率も低くなりやすいです。そのお金を譲渡金に当てた方が良いと考えています。

またお金を借りる際は、承継譲渡額から1千万〜2千万円くらいの運転資金を上乗せして借りることをお勧めします。承継開業の場合は、患者さんは既にいますので基本的には運転資金が枯渇することはないとされています。しかし、何か問題が発生してから、不足分をまた借りれば金融機関に対して心証が悪くなりますので、前もって少し余分に借り入れするとよろしいでしょう。

承継開業のスタッフのこと

承継後の既存スタッフとの関わり方についても、よく質問や相談を受けます。基本的には、そのまま勤務してもらうのが良いです。承継後はそのクリニックについて、分からないこともたくさんあるでしょう。その点で、既存のスタッフから学び、承継していくのがベストだと思います。

しかし、前院長と年齢差があり、アグレッシブで挑戦したい事が多くある場合は、環境の変化による衝突が少なからず生まれてしまいます。どんなに謙虚に、紳士的に接する努力をしても、その変化に抵抗を感じるスタッフはある程度いるものです。辞めていくスタッフは必ずいますので、それは覚悟しましょう。

また、前院長に週1〜2で勤務して頂く方が患者さんにとっても心配事が軽くなるのでお勧めです。前院長を頼りにしている患者さんもいますので、そのまま継続して来院して貰えるだけでなく、円満にクリニックを引き継いだという印象を与えることもできます。良い人へ承継したのだと安心感を与えられるので、今まで通り患者さんが来てくれます。

承継開業の事務手続きなど

承継開業のための事務手続きは、新規開業でもそうですが、基本的に専門業者がやってくれます。しかし、承継開業の場合、例えば医療法人を承継すると理事の変更や定款の変更が必要です。その書類は自分自身で用意する必要があります。書類を揃えれば、あとは提出などすべて専門業者が行いますので、自分自身が事務手続きに詳しくなる必要はありません。

承継開業の什器や医療機器について

私は、専門とは他の診療科を承継しました。例えば、泌尿器科を新しく始めるのであれば泌尿器科で使用する道具を一から買う必要があります。これは新規開業にかかる場合と同じで、新たな費用がかかることになります。基本的には、前院長が使っていたものを使用すれば良いので什器を購入する必要はありません。

ただ、こだわりが強い場合や、既存のものが古い場合、買い換えが必要になることもあるでしょう。私は実際に内視鏡の機械が古かったので買い替えました。そのため、承継開業ではしっかりと確認し、値段を把握するべきです。「これは古いから買い換える必要がある」等、値段交渉になるので、今となってはもう少し主張すればよかったと考えています。

承継開業は、最初のうちは贅沢を言っている場合ではありません。什器を買い換えるにしても、ある程度売上が立つまでは我慢します。初めから高い理想を求めるのであれば、新規開業をお勧めします。売上が立ってから、自分の希望を叶えお金を使えばいいと思います。

承継開業の集患・売上について

集患に関して言えば、もともと通っている患者さんがいますし、前院長が承継後もいるのであれば問題ないようにも思いますが、院長が変わるだけで足が遠のく人もいます。そのため、承継開業とはいえ、新たに集患が必要です。これは新規開業でも同じです。

ただ、新規開業は最初から集患のためにお金を注ぎ込む必要がありますが、承継開業は最初からある程度の売上げがあり余裕があります。業務に慣れて、売上をきちんと把握してから広告宣伝費等にお金をかければ良いでしょう。

承継開業の法人について

基本的に新規開業の場合は、個人事業主から始めます。承継開業では、医療法人を譲受した場合は法人の理事長に、個人事業を譲受した場合は個人事業主になります。

法改正により2007年(平成19年)以降に設立された全ての医療法人は、持分なしの医療法人です。財産権が認められていない持分なしの医療法人は、閉院した時点で余剰金が全て国庫に帰属します。そのため、持分ありの医療法人を譲受する方が人気なのですが、それには2007年以前に設立された医療法人でないといけません。この点からも、新規開業では不可能である持分ありの医療法人を引き継ぐことが可能であることも、承継開業のメリットと言えます。

また、私伊勢呂のように分院を出す際には、新規開業であれば1年程度で法人化、その後分院展開のような流れになります。新規開業であれば、すぐに分院を考える方は少ないかもしれませんが、そういったスピードを求める人には医療法人の方がいいかもしれません。

医療法人の場合、自分自身の給料を最初に決めるので、同じ年度であれば決定した金額を変更することはできません。個人事業主であれば、給料は青天井です。売上が高ければ高いほど給料は上がります。もし、分院を作らずそこで一生やっていくのであれば、法人化する必要はないと個人的には思います。

法人化することで、利益は医療法人のもので、自分のものにはなりません。また、そのお金を移動させたところで、売上が多くなれば税金も約40%、そして所得税と、二重の税金が発生します。法人化するデメリットもよく考えた上で、判断されるのがいいでしょう。

このことを考えると、個人事業主の方が絶対に得ではあります。しかし、目先の給料だけではなく、経営することの楽しさややりがいを求めるのであれば、医療法人をお勧めしています。

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