クリニックの承継開業とは

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クリニックの承継開業とは、すでにある医院やクリニックを第三者がM&Aによって承継する形で独立開業をすることを言います。

後継者問題や2020年の新型コロナウィルスの影響を理由に、クリニックを閉めたいとお考えの開業医の方が増えています。このようなクリニックをそのまま閉めてしまうのは非常に残念なことです。
開業医の方のお気持ちもそうですし、何よりスタッフ、患者様の行き場がなくなってしまいます。

そこで、クリニックの承継開業です。
クリニックの承継開業によって、開業したい勤務医の方、クリニックを閉めてしまおうとお考えの開業医の方、クリニックで働くスタッフ、クリニックへ通う患者様の全員に利益をもたらすことができると考えています。

他方で、デメリットが全くないというわけではありません。

ここでは、自身でクリニックを承継開業した経験から、承継開業にまつわるメリット・デメリットをお伝えします。

承継開業のメリット

開業資金を抑えられる

開業資金を抑えられる

ゼロからの開業となると、不動産の取得、建築や内装工事、医療機器の購入など多額の費用がかかります。さらには、開業後に集患ができなければ運営資金は減っていく一方です。

承継開業であれば運営中のクリニックを引き継ぐため、費用を抑えての開業が可能です。

患者様を引き継げる

患者様を引き継げる

前院長から患者様を引き継げるため、開業当初から売り上げを確保でき、早期から安定した経営を行えます。

患者様にとっても継続して同じクリニックに通い続けられることは安心につながります。

お勧めは、前院長先生に週1、2回は診療に出てもらうということです。患者様としてもいきなり新しい院長先生に診てもらうというよりも、徐々に紹介してもらいつつ引き継いでいくと患者様が離れることも少ないのではないかなと思います。

看護師・事務スタッフを引き継げる

看護師・事務スタッフを引き継げる

看護師は慢性的な人手不足が続いているため、採用を心配する必要がないことは大きなメリットです。

なにより患者様や地域のことを熟知している看護師、事務スタッフは、クリニックを引き継ぐ際に非常に頼りになるはずです。

譲渡金額を前院長に退職金として渡せる

譲渡金額を前院長に退職金として渡せる

クリニックの規模にもよりますが、承継の際は譲渡金額というものが必ず発生します。
個人経営のクリニックであれば数百万円〜1.5億円くらいまでが相場です。その額を前院長に退職金のような形で渡せるのです。

税制面での優遇も

法人クリニックを承継する場合に限りますがが、承継の譲渡金額を前院長に退職金として渡すそのお金は法人として借入します。
退職金は損金扱いとなるため、その年は見た目上は多額の赤字となるわけです。
次年度からは利益が出てもその退職金の赤字分が相殺されない限りは法人税を払う必要がありません。新規の開業の場合はこのようなことは絶対にありえません。同じ額の借入をしたとしても、節税効果を踏まえると承継開業の方が1.5倍程の価値があると思われます。

承継開業のデメリット

承継開業の良い面ばかりを挙げてきましたが、当然デメリットもあります。

自由に開業場所を選べない

自由に開業場所を選べない

これは既存の場所を承継するので当然かと思われます。 ある程度の地域を絞って検索をしたとしても、希望の駅や徒歩何分などは希望に添えないことがあるかもしれません。

また、ビル内のクリニックか戸建のクリニックかなどもどこかで希望に添えない条件が出てくる可能性もあります。

自由にスタッフを選べない

メリットに挙げたことの裏返しですが、スタッフは既存のクリニックのスタッフに引き続き勤務していただく場合がほとんどです。

ですがスタッフの皆さんの方が先輩であり、クリニックにも地域にも患者様にも慣れているので非常に心強いです。

自由さがない、という点でデメリットとしていますが基本的にはメリットの方が大きいです。

医療機器のメーカーなど、好きなものを選べない

医療機器のメーカーなど、好きなものを選べない

承継後、初期の段階では恐らく引き継いだ医療機器を使うことになるでしょう。内視鏡や超音波など医療機器は高額です。1,000万円以上する場合もあります。

クリニックにすでにあるのにそれを買い替えて自分のお気に入りのメーカーのものを使用するというのは、承継開業のメリットが損なわれてしまいますので、非現実的です。

デメリットはざっと挙げて以上です。
自分の城なのだから自分の好きなものを揃えたいという方には、デメリットの点から承継開業は向かないかもしれません。
ですがまず開業医としてクリニック経営を成功させたいというのであれば承継開業は圧倒的にお勧めです。ある程度成功した後に自分色にクリニックを徐々に変えていくという手もあります。